FP&Aシナリオ管理における不確実性の計画
14 分で読めます — by Akash Choudhary
FP&Aシナリオ管理は、現代の組織が不確実な環境において計画をたて、情報に基づくすばやい判断を行うために採用すべき不可欠の考え方です。しかし多くの企業はいまだ旧式のプロセス、静的なモデル、旧式のテクノロジーを使用して奮闘しています。これらすべては、私たちは何をどのように変えられるか?という命題を提起します。
ビジネス世界が一層、予測不可能になっていく中で、財務計画&分析(FP&A)のプロフェッショナルは、変化し続ける環境において計画を立て予測を行う新しいツールとテクニックを探しています。たとえば、ごく最近の2020年3月においてパンデミックが起きると、ビジネス世界は「機能しない予算」と非現実的な予測で溢れ、意思決定プロセスにおいてシナリオプランニングが不可欠なテクニックとなりました。
シナリオプランニングにおける課題
多くの組織は今日もいまだにシナリオプランニングに苦労しています。2022年FP&Aトレンドサーベイでは、375企業のうちわずか6%がリアルタイムでシナリオを実行できています。さらに、シナリオを1日かからずに実行できると答えた回答者はわずか13%でした。驚くべきことに25%以上の回答者が、シナリオを全く実行できず、55%がシナリオの実行に数日から数週間かかると答えています。目の前のビジネス命題にもよりますが、シナリオは作成に数日かかれば使えないものになる可能性があります。
シナリオプランニングからシナリオ管理への進化
シナリオプランニングは何年も前から行われていました。これは戦略計画策定だけでなく、リスク管理と財務分析にも使用されてきました。実際上、従来の予算作成および計画プロセスはほとんどの場合、最良、最悪、平均の3つの「典型的シナリオ」を含んでいます。現実にはこれらの基本的なシナリオでは十分でないことがわかっています。実際、ここ数年の事象は、機動力と適応力のあるプランニングの必要性を明らかにしています。
Coca-Cola社のCFOであるJohn Murphy氏は、シナリオプランの進化についてある格言を残しています。
「私は(過去9か月の間に)『シナリオプランニング』という用語にどんどん面白味を感じなくなってきた。シナリオプランニングと言うより、シナリオ管理のように思える。」
シナリオ管理は単なるプロセスではなく、考え方です。言い換えれば、従来の「年間計画1つと、四半期予測4つ」の枠組みはもはや機能しません。不確実性を管理するためFP&Aプロフェッショナルは、将来の複数の潜在的状態と、それらが作り出す要因について理解する必要があります。彼らはオンデマンドで複数のシナリオを、共同で、分析的に、かつ迅速に(実際上はリアルタイムで)管理しなくてはなりません。
現代的なシナリオ管理の枠組み
これらの非効率性と戦うため、FP&Aプロフェッショナルは、どのように状況を改善できるかについて認識しなくてはなりません。多くの組織は通常以下の3つの異なるプランニングプロセスを有しています。
- 戦略的プランニング – 組織の将来的目標と、それを達成するための戦略を策定します。
- 戦術的プランニング – 戦略的目標を、通常は1~3年で中期的に実行可能なイニシアティブに置き換えます。
- オペレーショナルプランニング – 通常は数週間から最大1年間の範囲における、組織の日々のオペレーションに焦点をあてます。これは戦術的目標を達成するための具体的なタスク、責任、スケジュールを詳述します。
現代的なシナリオ管理の枠組みを開発する最初のステップは、組織における3つの主要なプランニングプロセスを調和させることです。言い換えれば、従来のものから、統合されたFP&Aへの切り替えが必要です。
シナリオ管理のエコシステムはどのようにして作成しますか?
FP&Aプロフェッショナルは、すべての組織プランニングと予測プロセスの調和を確実にしなくてはなりません。実際このことは、新しい環境要因により戦略計画が変化すれば、オペレーションと技術的な計画における関連する調整が自動的に行われることを意味します。これにより、クラス最高のシナリオ管理プロセスがFP&A部門の究極的な目標となります。続けてお読みください。
統合されたFP&Aとは?
統合されたFP&Aは、単一および継続的な枠組みで、計画や予測を縦横に計画し予測します。組織内でのさまざまなプランニングのレイヤーを把握し、それらのレイヤーのうち財務プランニングはどこにあてはまるかを理解することが不可欠です。このコンセプトは、会社の目標を達成するために「あり得るシナリオ」の策定、評価、実装につながる調整された部門別の活動に代表されます。またこれは企業がオンデマンドで複数の未来への影響を評価しサポートすることも可能にします。
統合されたFP&Aのための「6つの成功要因マトリックス」
今では私たちは、統合されたFP&Aは現代的なシナリオ管理に不可欠であることを理解しています。しかし実際にはどうすれば実装することができるでしょうか? 国際FP&A委員会は、主要組織との話し合いと実際的インサイトへの研究の後、統合されたFP&Aへの道筋に必要な6つの要因をまとめました。
プランニングプロセスを縦横両方向に調整した後、プロフェッショナルは、以下に概説する6つの要因について注意を払う必要があります。
1.主要なビジネス要因を特定する
社内外両方 最も重要なものに焦点を当てることが重要です。たとえば企業は結果の80%を説明することができる20%の要因に焦点を当てる必要があります(パレートの法則による)。戦略レベルからオペレーションレベルへの下方向および反対の上方向の要因同士の関係性に注意してください。主要要因とそれらが組織の他のレベルへとどの様に関係するかを理解することを、現代的なFP&A部門の重要な定期的作業としなくてはなりません。
2.完全に要因ベースのFP&Aモデルを作成します。
シンプルなエクセルベースの完全に要因ベースのモデルでさえ、シナリオを実行する能力に大きな影響を与えます。モデルは3つのプランニングプロセスすべてを確実に結び付けるようにしてください。主要ビジネス要因がどのようにつながっているかを理解し、それに従ってモデルを作成して、組織内におけるすべてのプランニングと予測の枠組みを統合する必要があります。
3.すべての優れたモデルは「3方向モデル」であるはずです。
それは、損益計算書(P&L)、キャッシュフロー計算書、貸借対照表の3つすべての会計報告を結び付ける必要があります。一見シンプルに見えますが、数百もの国際FP&A委員会の会合において、わずか20%程度の企業しか3方向コネクティッドモデルを採用していないことがわかりました。大半の企業がキャッシュフロー計算書と貸借対照表と切り離されて使用される損益計算書に焦点を当てています。. コネクティッド財務モデルは、キャッシュプランニングが重要で資金が限られており、変化し続ける環境において必須のものです。
4.必須のプランニングプロセスを統合する
誰が何をするかを考え直しましょう。プランニングプロセスには大勢の人が関わりすぎるべきではないし、集中しすぎるべきでもありません。ビジネスパートナーとしてFP&Aプロフェッショナルは、プランニングと予測のために必須となる情報のフローをすべて知っています。プロセス、モデル、ワークフローを不可欠な活動へと合理化することが不可欠です。従来より、一部の組織は、総勘定元帳や各コストセンターのレベルまで細かく計画します。そのプロセスを単純化し短縮するよう見直し、繰り返しタスクを自動化し、不要なタスクを削除することを覚えていてください。
5.人々の考察における要因
プランニングはすべて集団での作業であるため、それらを関連するチームと一緒に見直します。重要な考察事項は以下のとおりです。
- 十分なスキルを持つ人材がいるか、知識や経験のギャップはないか?
- 関係している財務以外の人々はプロセス全体を理解しているか?
- 関係するすべての人がプロセス、要因、基本となるモデルを理解しているか?
6.現代的FP&Aテクノロジー
テクノロジーは、不確実性に対する計画を望む組織の重要な資産です。しかしこれを最後にリストしたのは、上記の5つの要因に対する対処が十分に行われていた場合に、これはさらにプロセスを向上させることができるためです。現代的テクノロジーが静的なモデルで実装されており、プロセスを統合していなければ、システムはFP&A チーム内の非効率を高めるだけになります。
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