30分かかっていたグラフ作成が、たった数クリックに。「導入以前にはもう戻れません」と語るJTのマーケットインテリジェンス部の think-cell 活用術とは

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世界130以上の国と地域でたばこ製品を販売するたばこ事業を中心に、医薬事業や加工食品事業など、国内外で幅広く事業を展開する日本たばこ産業株式会社(JT)。日々変化する事業環境に適応していくため、同社ではお客さま視点を起点とした行動変革に取り組んでいます。

同社でマーケティング業務、特に市場調査やお客さまのインサイト分析に取り組むインテリジェンス部では、分析結果を社内へ展開し、経営の意思決定に資するため、PowerPointアドイン・ツール 「think-cell」を活用し、レポート作成に日々取り組んでいます。think-cellを活用するに至った背景や課題、think-cellの活用術、得られた成果について、ご担当者さまにお話を伺いました。

 

会社名  

日本たばこ産業株式会社

事業内容  

グローバルたばこ事業、医薬事業、加工食品事業を中心とした事業活動

従業員数

53000+

利用用途

マーケティング、視聴調査、データ分析、グラフ作成、定期レポート作成

使用機能

積み上げ縦棒・横棒グラフ、円グラフとドーナツグラフ、折れ線グラフ、ウォーターフォール図、100%グラフ、散布図とバブルチャート、注釈、Excelデータリンク

課題

  • 資料作成におけるビジュアライズ作業がスマートではなかった
  • 2時間の資料作成のうち、グラフやチャート作成に30分費やしていた
  • Excelとのリンクによってレポートの動作が重くなっていた

目的と解決策

  • グループ企業の成功例を参考にthink-cellを導入
  • グラフやチャート作成にかかる時間を思考時間に費やせる状態
  • 定例会議資料の更新やデザイン修正にストレスを感じない状態

効果

  • 6つの機能を活用し、レポートの目的によって作業工程を短縮
  • 2時間のうち30分かかっていたグラフ作成が数クリックで完了
  • Excelデータリンク機能で、データ更新がスムーズになった

 

日本マーケット インテリジェンス部 次長 光武 医様

 

ー インテリジェンス部のミッションと業務内容を教えてください。

光武 医様(以下、敬称略):主に日本国内のマーケットや、お客さまのインサイト、嗜好の変化を分析し、弊社が中長期的に成長していくために必要な情報をレポーティングし、社内に展開していくことが私たちのミッションです。

普段の業務では、たとえば銘柄ごとの売れ行きを示すPOSデータや調査データ、アンケート調査の回答データを収集、整理し、そこに市場の動向分析と解釈を加え、示唆を出し、レポートにまとめています。

  

ー インテリジェンス部で作成されるレポートは、社内でどのように活用されているのでしょうか?

芦田 大夢様(以下、敬称略):インテリジェンス部のレポートのおよそ95%は、Microsoft PowerPoint(以下、PowerPoint)で作成しています。作成したレポートはさまざまなシーンで活用されていまして、たとえば社内で議論をする際のたたき台にしたり、他部署に回覧させて最新情報を伝達したり、会社全体の意思決定を話し合う経営会議でも使われたりといった例が挙げられます。

私たちの作成したレポートは、弊社が日本のマーケットで質の高い成長を続けていくうえで、重要な意思決定の場に使われるものです。そのため、定量的で正しいデータが記載すること、レポートを活用する人にとって分かりやすいデザインになっていることを重視しています。

 

日本マーケット インテリジェンス部 主任 芦田 大夢様

  

ー think-cellを導入いただく以前は、どのような課題を抱えていましたか?

芦田:レポート作成におけるビジュアライズの作業がスマートではなかったことが一番の課題です。デフォルトで実装されているPowerPointの機能ですと、たとえばチャート自体のサイズとテキストのサイズがアンバランスで読みにくかったり、グラフ内の目盛を上手く変更できなかったり、前後比較で重要な矢印を挿入しにくかったりと、カスタマイズ性の低さからグラフやチャート作成にとにかく時間と手間と手間がかかっていました。

一例を挙げますと、定例会議に使用するレポートは本来、デザインや構成が決まっているため、グラフ内のデータを最新のものに差し替え、分析や示唆出しを付け加えればよいのですが、データを更新する際にデザインが崩れてしまうため、グラフを作成し直したり、矢印を付け直したりといった作業が発生していました。

 

ー その他にどのような課題を感じていましたか?

芦田:定例会議用のレポート内で使用しているグラフは、Excelとリンクさせています。接続自体は問題ないのですが、しばらくデータを追加し続けていくとデータサイズが大きくなってしまい、グラフの更新と処理に時間がかかるようになっていました。それによって、ちょっとグラフをずらしたり、デザインを修正したりといった作業だけでも処理に待たされ、とてもストレスを感じていました。

   


ー think-cellはどのようなきっかけでお知りになりましたか?

光武:JTグループでは10年ほど前、インテリジェンス部では7〜8年ほど前にthink-cellを使用し始めました。海外で事業を手掛ける弊社のグループ企業の社員が日本へ帰国し、本社へ異動してきた際に紹介されたと聞きました。

その後、会計資料を作成しているファイナンス部門や、決算で使用する事業報告の資料を作成しているIR部門で活用され、マーケティング部門である私たちインテリジェンス部でも導入が始まったという経緯です。おそらくJTグループ全体では数百アカウントがthink-cellを活用しているのではないでしょうか。

すでに社内にはthink-cellの導入実績があり、情報システム部門もthink-cellをよく理解していたため、インテリジェンス部における導入時には他社ツールとの比較検討は特に実施されていません。また、グローバル規模で厳格なITポリシーを策定していますので、セキュリティなどの条件はクリアしているものと思われます。

  

ー 初めてthink-cellを操作したときの感想をお聞かせください。

芦田:think-cellは私がインテリジェンス部へ異動になってすぐ活用するようになりました。以前は本社ではない別の拠点で仕事をしていたので、「なんで本社の人たちのレポートはこんなに整っているんだろう」とずっと疑問だったのですが、本社に異動してようやく答え合わせされた気分でしたね。

情報システム部門にアカウントを付与してもらいましたが、特に研修を受けたり、マニュアルを読むことはなかったです。実際のところ、他の社員でもthink-cellの使い方を周りに聞いているところは見たことがありません。普通にPowerPointを操作する延長線で、タブからthink-cellを選択し、自然とグラフやチャートを作成できるようになりました。

think-cellで作成した最初のレポートは、インテリジェンス部内で使用するウィークリーレポートだったと記憶しています。先輩たちがthink-cellで作成したグラフのデータをそのまま更新するだけでグラフが完成したので、これは便利だと感じました。

 

 

ー think-cellではさまざまな種類のチャートを作成できますが、特に選ばれる頻度が高いチャートを教えてください。

芦田:よく使っている順ですと、以下の6つのチャートをよく使用しています。

  ・積み上げ縦棒・横棒グラフ

  ・円グラフとドーナツグラフ

  ・折れ線グラフ

  ・ウォーターフォール図

  ・100%グラフ

  ・散布図とバブルチャート

ー それぞれのチャートを作成する際に、どのような工夫をしていますか?

芦田:折れ線グラフでは、線が折れている山や谷の点(ポイント)に色を付けられるのが便利ですね。たとえば消費者のトレンド変化を示すようなグラフであれば、どこで大きな変化が起きたか分かりやすく伝えられます。また、平均変化率もボタンひとつで追加表示できるのも、レポートを受け取る人にトレンド変化を視覚的に伝えられるという点で高評価です。

折れ線グラフ以外のすべてのチャート作成時の工夫としては、よくチャート内の軸の目盛に書かれている数字を非表示にすることが挙げられます。伝えたいメッセージにとって不要な情報はなるべく省き、伝えたい数字を表示、強調させる工夫をしています。

インテリジェンス部では、前後比較のレポートを作成することも多く、その際に活躍するのが矢印です。PowerPointだけを使っていた頃は「挿入>図形」のタブから矢印の図形を選択し、一つひとつ色や形を変えてチャートの上に貼り付けていました。think-cellにはレベル差分矢印や総差分矢印など、さまざまな矢印がデフォルトで用意されており、それを選択するだけでチャート内に挿入されるので、かなり便利です。しかも、チャート自体のサイズを変更すると矢印も追従してサイズが変更されるため、面倒な作業が発生しません。

think-cellを使用して作成したスライド例(具体数値は非表示)

 

光武:私が特に活用しているのはExcelデータリンクの機能です。Excel上のデータから直接、PowerPointにグラフを作成することができ、データも更新される機能なのですが、データサイズによって更新に時間がかかることがなくなりました。もちろん、ストレスを感じることもなくなりました。

また、作成が完了したPowerPointは、提出する直前にExcelへのデータリンクを切っています。これは何かのミスでデータが変わってしまったり、失われてしまうことを防ぐための工夫で、複数のExcelへのリンクを一括でオフにできるのも便利だと思います。

さらにExcel以外でも、BIツールであるTableau(タブロー)をデータソースに指定することもできる機能もあり、今後の活用を考えています。


 

ー think-cellの活用で、どのような効果を感じていますか?

光武:think-cellがなかった時代にはもう戻れません。もしthink-cellを使わずにレポートを作成する場合、同じフォーマットを使っていたとしても新しいレポートを作成するたびにかなりの手間と時間がかかります。

以前は定例会議に使用するレポートの作成に2時間、そのうち25%ほどの30分をグラフのデザイン修正に割いていましたが、think-cellを活用することで数クリック、つまり数十秒の作業に短縮できました。浮いた時間は、示唆出しや分析を考える時間に充てることができています。以前は2時間のうち90分しか考察に充てられませんでしたが、いまではほぼ2時間すべてを思考に費やすことができます。また、資料作成のためだけに残業することは劇的に減っていると思います。

芦田:グラフ作成という手だけを動かす単純作業が減ったことで、頭に浮かんだ仮説を検証する時間を確保できています。思いついた仮説は一つひとつ検証していくのですが、少しでも多くの仮説を検証することができればレポートの内容に幅が生まれます。その仮説検証が経営にどれだけインパクトを与えられるかは未知数ですが、少しでも経営の意思決定に貢献できていればよいですね。

 

 

ー think-cellによるレポート作成の総括と、今後の展望をお聞かせください。

光武:think-cellを一言で表すなら「時間創造ツール」というイメージですね。単なるPowerPointの便利なアドインツールではなく、手だけを動かす時間を削減する一方で頭を動かす有意義な時間を創造できるツールだと思っています。

今後についても引き続き、think-cellを活用してレポート作成に取り組んでいきたいですね。私たちが対象とするマーケットやお客さまの嗜好は、刻一刻と変化し続けています。こうした変化を常に理解して会社の成長につなげられるよう、よりよい戦略参謀として分析業務に取り組んでいきたいと思います。

  

ー think-cellはどのような企業におすすめできるツールでしょうか?

芦田:企業規模によらず、たとえ少人数の事業であってもお客さまにレポートを作成する必要があるなど、チャートやグラフを使用したレポートを作成する必要がある企業にはおすすめできると考えています。

むしろ1人でさまざまな業務に取り組まねばならない小規模な企業にこそ、資料作成に費やす時間を削減できるメリットは多いように感じますね。一方の弊社のような複数のグループ企業を抱える企業規模では、ツールを横展開していくことで組織全体で効率化できるメリットがあると思います。

光武:think-cellは使ってみることでその便利さを実感するツールであり、導入のメリットを感じていない状態では、なかなか社内決裁が降りないかと思います。ですので企業規模によらず、PowerPointの資料作成に時間がかかっているなと感じたらまずはスモールスタートしてみてはいかがでしょうか?

  

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