Excelで積み上げグラフを組み合わせてウォーターフォールグラフを作成する手順

17 分で読めます

ウォーターフォールグラフは、データの増減を視覚的に把握するために効果的なツールです。Excelでウォーターフォールグラフを作成するためには、積み上げ棒グラフを組み合わせる方法が有効です。

本記事では、積み上げグラフを活用してウォーターフォールグラフを作成するための具体的な手順を詳しく解説します。初めての方でも簡単に実践できる方法を紹介しますので、これからウォーターフォールグラフを活用したいとお考えの方はぜひ参考にしてください。

 

【ウォーターフォールグラフの例】


ウォーターフォールグラフとは、データの増減を視覚的に表現するためのチャートで、特に収益や費用、売上の推移などを示す際に効果的です。

ウォーターフォールグラフは、最初の値を基準として、各データの値の増減を要素ごとに階段状に表示します。増加は上向きの棒で、減少は下向きの棒で示され、最終的な値に到達します。各要素の影響をひと目で把握できるため、経営分析や財務報告において役立ちます。

用途としては、企業の四半期ごとの収益や費用の詳細な分析などが挙げられます。例えば、売上高がどのように増減し、最終的な利益にどのように影響したかを示すことが可能です。

また、プロジェクトの進行状況や、各ステップでのコストの増減を追跡する用途にも適しています。さらに、営業パフォーマンスの評価やコスト削減計画の効果を可視化し、データの理解と意思決定を支援する効果も期待できます。



  • ウォーターフォールグラフには、数値の変化をひと目で把握できるというメリットがあります。各データの値の増減が視覚的に表現されるため、収益や費用、売上の推移など、時間とともに変動する要素を直感的に理解できます。

一方、ウォーターフォールグラフにはデメリットもあり、複雑性の高いデータセットを扱う場合にはあまり適していません。複数の要素が絡み合うデータを単純な値の増減で表現することが難しく、視覚的に理解しにくくなる可能性があるためです。

さらに、データの構成要素が多すぎるとグラフが混雑し、読み取りが困難になります。そのため、ウォーターフォールグラフは比較的シンプルなデータセットや、特定の増減要素を強調したい場合に活用することをおすすめします。


【積み上げ棒グラフの例】


積み上げ棒グラフとは、各要素の合計を示すための棒グラフで、カテゴリごとの比較や構成要素の割合を表示する用途に適しています。

積み上げ棒グラフは、各カテゴリのデータの値を一本のグラフに積み上げて表示するため、全体の構成をひと目で把握できます。例えば、月別の売上を商品カテゴリーごとに表示する場合、各カテゴリーの売上が積み上げられて一本の棒となり、全体の売上の中で各カテゴリーがどれだけ占めているかがわかります。

積み上げ棒グラフの主な活用シーンとしては、複数の要素を比較する際に効果的です。特定の期間における売上、費用、利益などを構成要素ごとに分けて表示することで、各要素の貢献度を可視化できます。

また、年度ごとの予算配分や、プロジェクトの進捗状況をカテゴリごとに比較する場合にも適しています。さらに、各要素がどの程度全体に影響を与えているかを明確にすることで、データ分析や報告書作成においても役立ちます。


  • 積み上げ棒グラフには、各要素ごとの貢献度を把握しやすいというメリットがあります。各カテゴリのデータの値が一本のグラフに積み上げられて表示されるため、全体の中で各要素がどれだけ貢献しているかを容易に把握できます。

例えば、年度ごとの売上を商品カテゴリ別に積み上げ棒グラフで表示すると、各カテゴリが全体の売上にどの程度貢献しているかが明確になります。このような特徴から、データの構成要素を視覚的に理解しやすく、経営分析やレポート作成などの場面で重宝します。

一方、積み上げ棒グラフは、多要素の比較に不向きというデメリットもあります。要素が多すぎると、グラフが煩雑になり、各要素の貢献度を正確に読み取りにくくなります。また、棒が積み重なるため、各要素間の微妙な違いを視覚的に判断できなくなりがちです。

そのため、要素が多い場合や、詳細な比較を行う場合には、複数の棒グラフや折れ線グラフなど、他のグラフ形式を検討する必要があります。


ウォーターフォールグラフと積み上げ棒グラフは、それぞれ異なるデータの可視化に適しています。

ウォーターフォールグラフは、主にデータの増減を強調するために使用します。各ステップが最終的な数値に与えた影響をひと目で把握できるため、データの変動要因を明確に理解できます。

一方、積み上げ棒グラフは、各要素の合計値を強調するために使用されます。各カテゴリのデータの値を積み上げて表示し、全体の構成を視覚化することで、各要素ごとの構成比がわかります。

ウォーターフォールと積み上げ棒グラフの使い分けは、扱うデータの性質に応じて行うことが大切です。


ウォーターフォールグラフの具体的な活用シーンとして、売上予想や原価計算が挙げられます。ここでは、主な2つの活用シーンを紹介します。


売上予想

ウォーターフォールグラフは、四半期ごとの売上の見通しを視覚的に表現するのに非常に有効です。例えば、企業が年度初めに立てた売上目標を基に、各四半期の実績を比較し、その差異を明確に示せます。

各四半期の予想売上を順に積み上げていくことで、年間の総売上目標がどのように達成されるのかを視覚的に把握できます。

また、予想外の要因による売上の変動も簡単に確認でき、経営戦略の修正やマーケティング施策の調整に役立ちます。ウォーターフォールグラフを用いることで、売上のトレンドを一目で把握でき、意思決定の迅速化と精度向上に貢献します。


原価計算

ウォーターフォールグラフは、収益に対する費用の内訳を明確に示すためにも活用されます。

例えば、製品の販売収益や原材料費、製造コスト、運送費、販売促進費などの費用項目が順に表示され、最終的な利益がどれほど残るのかを視覚的に表現します。

これにより、どの費用項目が収益に最も大きな影響を与えているかをひと目で理解でき、コスト削減の重点項目を明確に特定できます。

また、費用の増減を比較すると、原価管理の改善点や効率化の余地を見つけやすくなります。ウォーターフォールグラフを用いることで、経営陣や財務担当者は収益構造の全体像を把握しやすくなり、戦略的な意思決定をサポートします。


積み上げ棒グラフの活用シーン

積み上げ棒グラフの活用シーンは、進捗管理や予算管理がメインとなります。ウォーターフォールグラフに続いて、積み上げ棒グラフの活用シーンも詳しく見ていきましょう。


進捗管理

積み上げ棒グラフは、プロジェクトのタスク進行状況を視覚的に管理するために有効です。例えば、大規模なプロジェクトなどにおいて、各タスクの完了状況や進捗を明確に示すために使用されます。

各タスクを異なる色で表示し、プロジェクトの全体的な進行状況を可視化します。これにより、どのタスクが順調に進んでいるか、どのタスクが遅れているかを即座に確認でき、適切なリソース配分やスケジュール調整が可能です。

積み上げ棒グラフを用いることで、プロジェクトマネージャーは全体の進捗を効果的に監視し、プロジェクトの成功に向けた戦略的な意思決定を下せます。


予算管理

積み上げ棒グラフは、部門ごとの予算使用状況を管理するためにも活用されます。各部門の予算を積み上げて表示することで、全体の予算使用状況を視覚的に表現できます。

例えば、人事部、営業部、開発部などの各部門がどれだけの予算を使用しているかを明確に示し、全体の予算に対する各部門の貢献度を把握します。これにより、予算の過剰使用や未使用部分を可視化でき、必要に応じて予算の再配分や調整が可能です。

積み上げ棒グラフを使用することで、財務担当者や経営陣は予算の管理とコントロールを効率的に行い、部門間の予算配分の最適化を図れるようになります。また、年度末の予算報告書や中間報告にも有効であり、透明性の高い財務管理を実現します。


Excelには、ウォーターフォールグラフを自動的に作成するためのテンプレートが用意されています。ここでは、グラフ機能を使ったウォーターフォールグラフの作成方法を解説します。


1.データの準備

ウォーターフォールグラフの元となるデータをExcelシートに入力します。例えば、期間ごとの収益と費用などの値が考えられます。


2.データ範囲の選択

グラフに使用するデータ範囲を選択します。例えば、列Aに期間、列Bに収益、列Cに費用などの値が考えられます。


3.グラフの挿入

「挿入」タブをクリックし、「グラフ」グループから「ウォーターフォール」を選択します。


4.初期グラフの作成

選択したデータ範囲に基づいて、Excelが自動的にウォーターフォールグラフを作成します。グラフが表示されたら、各データの値を調整します。


5.カスタマイズ

データポイントを右クリックし、「データポイントの書式設定」を選択して、グラフの見栄えを整えます。

上記の手順を実行することで、ウォーターフォールグラフを作成できます。必要に応じて色やフォントなどのデザインをカスタマイズすると、さらに視覚的に洗練されたグラフに仕上がります。


Excel2016以降の場合は前述のグラフ機能を使って簡単にウォーターフォールグラフを作成できますが、Excel2013以前の場合は手動でグラフを作成する必要があります。

このような場合には、既に作成済みまたはこれから作成する積み上げ棒グラフを使って、ウォーターフォールグラフを完成させる方法が考えられます。ここでは、積み上げ棒グラフを使ってウォーターフォールグラフを作成する方法を紹介します。


1.データ入力

Excelシートに必要なデータを入力します。今回は例として上記のように作成しました。


2.積み上げ棒グラフを挿入する

【完成した積み上げ棒グラフの例】


  • 積み上げ棒グラフの挿入
    • データ範囲を選択し、「挿入」タブをクリックします。
    • 「積み上げ棒グラフ」を選択し、最初のグラフを作成します。

上記の手順を実行することで、ウォーターフォールグラフの元となる積み上げ棒グラフを作成できます。


3.ウォーターフォールグラフ部分を白抜きにする

【手動で作成したウォーターフォールグラフの例】


グラフの何もない部分をダブルクリックすると、画面右欄に書式設定が表示されます。「余白部分」と「増減」の項目を「塗りつぶしなし」に設定すると、ウォーターフォールグラフが完成します。


ウォーターフォールグラフはExcelでも作成できますが、複数のデータが重なり合った複雑なグラフを作成するには、既存機能だけでは不十分な場合も少なくありません。数多くのデータ要素が絡み合った複雑なウォーターフォールグラフを視認性の高い形で作成するなら、think-cellを活用してPowerPointで作成するのがおすすめです。

think-cellはPowerPoint上で簡単にグラフを作成できるツールであり、初めての方でも容易に操作可能な、直感的かつ高度な機能を備えています。データの変更に応じてグラフが自動更新されるため、常に最新の情報を反映できます。

また、Excelとのシームレスな連携により、データの二重入力や手動でのコピー&ペーストの手間を省き、エラーのリスクを減らせる点もメリットです。

さらに、グラフのデザインやフォーマットのカスタマイズも容易で、視覚的に魅力的なグラフを作成できます。think-cellにご興味をお持ちの方は、ぜひ一度無料トライアル版をお試しください。 

 

think-cellでウォータフォールグラフを作成する様子

エクセルにはウォーターフォールグラフを自動的に作成する機能が備わっていますが、場合によっては手動で作成する必要が生じる場面もあります。そのような場合には、積み上げ棒グラフと組み合わせてウォーターフォールグラフを作成する方法が有効です。

売上予想や原価計算など、ウォーターフォールグラフは経営判断に欠かせない、さまざまなデータ分析を行う上で役立ちます。自社に必要なデータを精査し、効果的にグラフを活用しましょう。



もっと読む:

共有する