プロジェクトスケジュールの5つの種類とパワポで作成するコツを解説

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プロジェクト管理において、スケジュールの作成は欠かせない重要な要素です。適切なスケジュール管理により、タスクの進捗を把握し、納期を遵守してプロジェクトの信頼性を高められます。

プロジェクトスケジュールの作成方法にはいくつかの種類があるため、それぞれの特徴を理解し、適切に活用することで、プロジェクトの成功率が大幅に向上します。

本記事では、プロジェクトスケジュールの5つの主要な種類を紹介し、PowerPointを使って効率的にスケジュールを作成するコツを詳しく解説します。スケジュール管理の効果を最大限に引き出したい方は、ぜひ参考にしてください。

プロジェクトスケジュールとは、プロジェクトの全体的な計画と進行状況を時間軸に沿って視覚的に表現したものです。各タスクや活動の開始日と終了日、依存関係、マイルストーンなどを明確に示し、プロジェクト全体の進捗を管理するためのツールです。

一般的にはWBSやガントチャートが使用されることが多く、各タスクの期間をバーで示し、プロジェクトの流れをひと目で把握できるように作成します。

プロジェクトスケジュールは、チームメンバー間の連携を強化し、効率的なリソース配分やマネジメントを実現するために不可欠です。

プロジェクトスケジュールを作成する目的は、納期遵守やコスト管理、リスク回避などさまざまです。ここでは、主な4つの理由と重要性について解説します。

納期遵守

納期遵守は、プロジェクト成功を左右する鍵となります。

プロジェクトスケジュールを作成することで、各タスクの開始日と終了日を明確にし、全体の進行状況を把握できます。これにより、締切に対してどれだけ進んでいるかをリアルタイムで確認し、遅れが生じた場合には迅速に対策を講じられます。

また、タスクの依存関係を明示することで、どのタスクが遅延すると全体に影響を及ぼすかを予測しやすくなります。


コスト管理

コスト管理も、プロジェクトスケジュールを作成する目的のひとつです。

スケジュールを詳細に設定することで、各フェーズやタスクにかかる時間とリソースを予測しやすくなります。これにより、予算の範囲内でプロジェクトを進めるための計画が立てやすくなります。

また、リソースの使用状況を定期的にチェックし、予定外のコストが発生した場合には、速やかに修正計画を立てることが可能です。適切なスケジュール管理により、コストオーバーを防ぎ、効率的な資金運用が実現します。


リスク回避

リスクを最小限に抑えるためには、綿密なスケジュール管理が役立ちます。スケジュールを詳細に計画することで、潜在的なリスクを早期に特定し、対策を講じられます。

例えば、特定のタスクが遅延した場合の影響範囲を事前に把握し、代替案を準備することが可能です。また、スケジュールにはある程度のバッファを設けることで、予期せぬトラブルにも柔軟に対応できます。


チームの作業効率向上

プロジェクトスケジュールは、チームの効率向上にも大いに貢献します。

明確なスケジュールの作成により、各メンバーの役割と責任が明確になり、誰が何をいつまでに行うべきかが可視化されます。これにより、チーム内のコミュニケーションの齟齬が減少し、タスクの重複や漏れを防止できます。

さらに、進捗状況を可視化することで、メンバー全員がプロジェクトの現状を把握しやすくなり、目標達成に向けて一丸となって行動できるようになるメリットもあります。

プロジェクトスケジュールにはさまざまな種類がありますが、特によく使われるのはWBSやガントチャート、カンバンボード、クリティカルパス法、PERTチャートなどです。ここでは、5種類のプロジェクトスケジュールについて詳しく解説します。


WBS

WBSとは、プロジェクト全体をタスクに分解し、階層構造で整理する手法です。プロジェクトの全体像を細かく分割し、それぞれのタスクを階層的に配置することで、各タスクの位置付けや役割を明確にします。

WBSは、プロジェクトのタスクを洗い出し、各タスクの依存関係を把握するために使用されます。これにより、必要なリソースや時間を見積もることが容易になり、全体の計画が効率的に進められます。

タスクの階層構造を視覚的に示すことで、プロジェクトの進捗状況や各タスクの重要性がひと目で分かるようになります。


ガントチャート

ガントチャートは、タスクを棒グラフ形式で視覚的に表示し、スケジュールを管理するツールです。各タスクの開始日、終了日、および期間を横軸の時間に沿って表示し、全体のスケジュールを直感的に理解できるようにします。

各タスクの進行状況を視覚的に追跡して遅延が発生している部分を迅速に特定し、タスク間の依存関係も示すことができるため、全体の流れを把握しやすくなります。プロジェクトの計画から実行まで、全てのプロセスで利用可能です。


カンバンボード

カンバンボードは、付箋やカードを使ってタスクの進行状況を管理する手法です。各タスクをカードに記入し、「To Do」「In Progress」「Done」などの列に配置して視覚的に管理します。

カンバンボードは、主にタスクの可視化と進捗管理に使用されます。アジャイル開発において特に有効で、リアルタイムでタスクの状態を確認でき、チーム全員が現在の状況を把握しやすくなります。

タスクの移動が簡単で、進行状況を迅速に更新できるため、動的なプロジェクト管理に適しています。


クリティカルパス法

クリティカルパス法は、プロジェクトの最長経路を特定し、遅延を防ぐために重点的に管理する手法です。全てのタスクの所要時間を計算し、最も時間がかかる経路を「クリティカルパス」として特定します。

クリティカルパス法は、プロジェクトのスケジュール最適化と重要タスクの管理に使用されます。クリティカルパス上のタスクはプロジェクト全体の完了日に直接影響するため、これらのタスクの遅延を防ぐことが重要です。


PERTチャート

PERTチャートは、タスク間の依存関係と所要時間を図示し、プロジェクト全体の時間管理を行う手法です。ネットワーク図を用いて、各タスクの順序と所要時間を示します。

主に複雑なプロジェクトの計画とリスク管理に使用され、各タスクの最早開始日と最遅終了日を計算し、全体のプロジェクト期間を予測します。リスクを特定し、スケジュールの遅延を防ぐための対策を講じられるため、大規模なプロジェクト管理に適しています。


プロジェクトスケジュールの作成方法には、手書き、Excel、PowerPoint、専用ツールの主に4種類があります。ここでは、4つの作成方法の特徴やメリットを解説します。


手書き

手書きのスケジュールは、柔軟性があり、即座に修正や追加が可能な点が魅力です。アイディアをすぐに形にできるため、初期のブレインストーミングやラフな計画に適しています。道具がほとんど不要で、簡単に始められるのもメリットのひとつです。

小規模なプロジェクトやチームミーティングでホワイトボードや紙にタスクを書き出し、進捗を手書きで管理するような手法が想定されます。例えば、プロジェクト開始時にタスクを箇条書きにし、重要な日付やマイルストーンを手書きで追加することで、全体像を簡単に把握できます。


Excel

Excelは、柔軟性と計算機能が豊富で、簡単にカスタマイズが可能です。表計算ソフトとして、データの整理や分析、グラフの作成に優れています。関数や条件付き書式を使用することで、動的なスケジュール管理ができます。

中規模程度のプロジェクトで、各タスクの進行状況やリソース配分を管理する際にExcelが活躍します。例えば、タスクごとに開始日、終了日、担当者を列に分けて入力し、進捗状況を条件付き書式で色分けすることで、視覚的に進捗を把握できます。


PowerPoint

PowerPointは、図やアイコンを使って直感的に理解しやすいスライドを作成できるため、視覚的にデザイン性の高いスケジュールを作成するのに適しています。プレゼンテーションツールとして、チームメンバーやステークホルダーへの説明が容易な点も魅力です。

プロジェクトの進捗報告や会議資料として、スケジュールを図やグラフで表現できます。例えば、ガントチャートやカンバンボードのイメージをスライドに挿入し、タスクの進行状況をわかりやすく伝えることができます。


専用ツール

専用ツールは、プロジェクト管理に特化した機能が豊富で、効率的なスケジュール管理を可能にします。タスク管理、リソース配分、進捗追跡など、多様な機能が統合されており、リアルタイムでの更新や共有が簡単です。

導入費用はかかりますが、ガントチャート、クリティカルパス法、カンバンボードなど、多様な管理手法をサポートしており、作成時間を短縮しやすいのがメリットです。主に大規模なプロジェクトや複数のプロジェクトを同時に管理する場合に有効です。


パワポでプロジェクトスケジュールを作成する前は、次のような準備をする必要があります。

  1. 具体的な目標の明確化
  2. マイルストーンの設定
  3. タスクの洗い出しと優先順位の決定
  4. タスクの依存関係の把握
  5. リソースの計画・調達
  6. スケジュールの策定

それぞれの内容について、詳しく見ていきましょう。

1.具体的な目標の明確化

プロジェクトスケジュールを作成する際には、まず具体的な目標を明確にすることが重要です。

プロジェクトの最終的な成果物や達成すべき目標を具体的に定義しましょう。目標が明確であれば、プロジェクトの方向性が定まり、全員が同じ認識を持って作業に取り組めます。

例えば、新製品の開発であれば、発売日、機能要件、品質基準などを具体的に設定します。目標を具体的にすることで、プロジェクト全体の計画が立てやすくなり、スケジュールの策定に役立ちます。


2.マイルストーンの設定

次に、プロジェクトの進行を管理するためのマイルストーンを設定します。マイルストーンとは、プロジェクトの重要な節目や達成すべき中間目標を指します。例えば、企画段階の完了、試作品の完成、最終テストの実施などがマイルストーンとして設定されます。

マイルストーンを設定することで、プロジェクトの進捗を評価しやすくなり、計画通りに進んでいるかどうかを確認できます。また、マイルストーンを達成するたびにチームのモチベーションが向上し、次のステップに進むための指標となります。


3.タスクの洗い出しと優先順位の決定

マイルストーンを設定した後は、プロジェクトを達成するために必要な具体的なタスクを洗い出します。各タスクを詳細にリストアップし、それぞれの優先順位を決定しましょう。

優先順位をつけることで、重要なタスクから効率的に取り組めるようになり、リソースの最適な配分が可能になります。

例えば、開発プロジェクトの場合、要件定義、設計、コーディング、テストなどのタスクをリストアップし、それぞれのタスクの重要度や緊急度に基づいて優先順位を設定します。


4.タスクの依存関係の把握

タスクの洗い出しと優先順位の決定後は、各タスクの依存関係を把握します。あるタスクが他のタスクに依存している場合は、その順序を正しく設定する必要があります。

例えば、設計が完了しないとコーディングに進めない場合、設計タスクがコーディングタスクの前に位置付けられます。依存関係を正確に把握することで、スケジュールの策定がスムーズになり、プロジェクトの進行が計画通りに進むようになります。


5.リソースの計画・調達

次に、プロジェクトを遂行するために必要なリソースの計画と調達を行います。

リソースには、人材、設備、予算などが含まれます。各タスクに必要なリソースを見積もり、適切な配分を行いましょう。リソースの不足や過剰を防ぐためには、リソース計画を綿密に立てることが重要です。

また、外部リソースが必要な場合は、事前に調達計画を立て、必要な契約や調整を行う必要があります。リソースの計画と調達を適切に行うことで、プロジェクトのスケジュールが円滑に進行します。


6.スケジュールの策定

最後に、上記の情報をもとにプロジェクトスケジュールを策定します。具体的な目標、マイルストーン、タスク、依存関係、リソースを考慮して、全体のスケジュールを作成します。

作成したスケジュールは、関係者と共有し、フィードバックをもとに必要な修正を加えます。パワーポイントを使って視覚的に分かりやすいスケジュールを作成し、プロジェクトの進行を管理するのがおすすめです。

パワポを使ってプロジェクトスケジュールを作成する時の、短期プロジェクトと長期プロジェクトそれぞれの作成例を紹介します。これからパワポで作成にチャレンジする方は、ぜひ参考にしてください。

短期プロジェクトのスケジュール表

短期プロジェクトのスケジュール表は、簡潔で見やすい形式が求められます。全体の流れを把握できればよい案件であれば、上記のようにオブジェクト形式を使うと効果的です。

タスクの内容を伝えやすくするために、全体のレイアウトやフォントを調整して、視認性を高めることが大切です。

長期プロジェクトのスケジュール表

長期プロジェクトのスケジュール表では、月単位または四半期単位での計画が必要です。PowerPointで長期プロジェクトのスケジュールを作成する際は、まず「挿入」タブでテーブルを作成し、行数を月数または四半期数に、列数を主要なマイルストーンに設定します。

各セルにマイルストーンと日付を記入し、タスクの進行状況を示すために色を使って視覚的に区別します。

また、タスクの依存関係や重要な締切を示すために、矢印やラインを追加すると、プロジェクト全体の流れを把握しやすくなります。定期的に進捗を確認し、必要に応じてスケジュールを更新することで、プロジェクトの成功率を高められます。


プロジェクトスケジュールの効果を高めるためには、次の3つのポイントを押さえておくことが大切です。


適切にタスク化する

プロジェクトを成功に導くためには、タスクを適切に細分化することが重要です。

タスクは明確かつ実行可能な単位に分解し、それぞれの目標と完了基準を明示します。例えば、複雑なプロジェクトでは、各主要フェーズをさらに具体的なアクションに分けることで、進行状況を細かく管理できます。

各タスクには担当者を割り当て、開始日と締切を設定します。また、タスクの優先順位を決めることで、重要なタスクから効率的に取り組めます。


余裕を持ったスケジュールを設定する

プロジェクトスケジュールには、予測不能な事態に備えて余裕を持たせる必要があります。各タスクにバッファを設定することで、遅延リスクを軽減できます。

例えば、タスクの所要時間を見積もる際には、通常の所要時間に10%~20%程度の余裕を追加するなどのルールを設けると良いでしょう。マイルストーン間にも余裕を持たせ、遅延が発生してもプロジェクト全体の進行に大きな影響を与えないようにします。

スケジュールの余裕を持たせることで、プロジェクト全体の柔軟性が高まり、スムーズな進行が可能になります。


リアルタイムでの進捗を共有する

プロジェクトの進捗状況をリアルタイムで共有することは、リスク管理において非常に重要です。リアルタイムな進捗共有により、問題が発生した際に迅速に対応できるため、遅延や障害を最小限に抑えられます。

定期的な進捗報告会やオンラインミーティングを開催し、進行状況を確認し合うことで、チーム全体の一体感を促進できます。


チームメンバーからのフィードバックを反映する

プロジェクトスケジュールの効果を高めるためには、チームメンバーからのフィードバックを積極的に収集し、反映することが重要です。定期的なミーティングやフィードバックセッションを設け、現場での意見や改善点をヒアリングしましょう。

これにより、実際の作業状況や問題点を把握し、スケジュールの調整や改善を行えます。フィードバックを取り入れることで、チーム全体の協力体制が強化され、プロジェクトの成功に向けた一体感が生まれます。


適切なマイルストーンを設定する

プロジェクトの進行を管理するためには、適切なマイルストーンを設定することが必要です。

マイルストーンはプロジェクトの重要な節目であり、達成すべき中間目標を示します。プロジェクトの開始時に、各フェーズの完了や重要な成果物の納品時期をマイルストーンとして設定することで、プロジェクトの進捗を評価しやすくなり、計画通りに進んでいるかどうかを確認できます。

マイルストーンを設定した後は、定期的に進捗状況を追跡し、報告することが重要です。進捗報告は、チーム内でのコミュニケーションを促進し、問題の早期発見と対策を可能にします。

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PowerPointアドインツールであるthink-cellは、プロジェクト管理に欠かせない40種類以上のグラフをシンプルに作成できる機能を提供します。ガントチャートを使用すれば、プロジェクトの各タスクの開始日と終了日を視覚的に確認でき、進捗管理が効率的に行えます。

Excelとのデータ連携にも対応しており、データの自動更新により最新情報を常に反映したスケジュールが維持できるため、手動入力の手間を省き、作業時間を大幅に短縮できます。

直感的な操作性とユーザーフレンドリーなインターフェースにより、初心者でも簡単に洗練されたスケジュールを作成できる点も魅力です。ご興味をお持ちの方は、ぜひ無料トライアル版をお試しください。

think-cellを使ってパワポでガントチャートを作成する様子.

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