Interview - 栗木 一氏|MBA留学生が語る!ビジネス現場を想定したアサインメントに欠かせない think-cell
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約10年間社会人経験を経て、2023年からIESEビジネススクール(以下、IESE。読み方はイエセ)にてMBAを取得中。約3ヶ月間の夏休みに、think-cell本社ファイナンス部門にてインターンシップ中の栗木一(くりき はじめ)氏。
欧州初の2年制MBAプログラムを提供しているIESEは、世界55か国以上から集まる学生と国際性・多様性の高い環境で、約19か月間に400を超えるケーススタディをグループで実践することが求められるビジネススクールです。IESEのケーススタディ開発本数はハーバード・ビジネス・スクールに次いで世界第2位と言われており、2024年にはグローバルMBAランキング世界5位に選ばれた学校です。そのような世界トップレベルの環境で学ぶ中「think-cellは欠かせないツール」と語る栗木氏に、IESEのMBA取得とthink-cellの強みについて直撃インタビューを行った。
MBA留学に進んだのは、世界各国の学生が集まる中で、グローバルに通用するリーダシップを学ぶため
ー これまでのキャリアとMBA留学を目指した理由を教えてください。
中央大学商学部在学中に公認会計士の資格を取得し、新卒でEY Japanに入社しました。公認会計士として会計・監査の経験を監査法人で積む中で、今後のキャリアを考え、4年ほどお世話になったEY Japanから 日系コンサルティングファームに転職しました。コンサルティングファームでは管理会計・経営管理のプロジェクトに従事している中、外資系PEファンドの傘下にある企業のコンサルティングプロジェクトに参画した際、自分のグローバルな環境でのコミュニケーション力やリーダシップに課題を感じたため、MBA 留学を志しました。
ー 会計・経営管理業務では数字を扱うことが多いと思いますが、当時の資料作成業務について教えてください。
監査法人では監査調書といって監査過程・結果を記すための資料を作成していましたが、パワーポイントを使用して資料作成を行う機会はほとんどありませんでした。
一方、転職後のコンサルティングファームでは管理会計・経営管理のプロジェクトでデータをどうわかりやすく表現するか、CFOが一目でわかるようなアウトプットにできるかどうか、という点で苦労していました。特にアウトプットの資料にはパワーポイントを使用していましたが、どうしてもウォーターフォールチャートなどの図表の作成に時間がかかってしまい、時間をかけて資料を作成したものの、ビジュアルや訴求ポイントなど本来表現すべき内容がイマイチということがありました。結局、見慣れているフォーマットという点を重視し、Excelで作成した簡易P&Lを別で作成し、プレゼンテーションに使用することで、何とかしのいでいた状況でした。
具体的には予算と実績の比較P&Lを作成してパワーポイントに貼り付けて分析結果として出していましたが、重要なポイントや情報理解のための表現に限界があるため、必要な情報を理解してもらうのに少し時間がかかってしまう欠点がありました。特にグローバルな環境で自分の英語運用能力も高くない中で、データから得たインサイトやメッセージをうまく伝えることが苦手ということは、経営を支え、推進していくポジションとして、致命的な問題だと感じていました。
think-cellと最初に出会ったのはMBA留学前
短時間でグラフィカルな図表が数回のクリックで作成できた
ー think-cellを初めて知ったのはいつですか?
コンサルティングファームの常駐先クライアントがthink-cellを使用しており、彼らの資料のクオリティがとても高く不思議に思っていました。そこで、気になってどのように作成しているのか聞いてみました。その際にthink-cellというソフトウェアの存在を教えてもらいました。それがthink-cellと私のはじめての出会いです。
当時、think-cellの使用は申請制になっていたので、すぐに使用申請を出してライセンスを付与してもらいました。早速使用してみたのですが、特に時間がかかっていたウォーターフォールチャートが数分でクオリティ高く作成できたことに大変感銘を受けました。
ー その当時はどのような業務でthink-cellを使用していましたか?
外部コンサルタントではありましたが、FP&A業務の一部も担っていました。そこでは策定した予算の説明や予算実績の比較分析において使用していました。think-cell導入前は以下のようなスライドを作成するのに少なくとも1時間を要していましたが、導入後は数値が用意できていればたった3分で作成できるようになり、生産性が大幅に向上しました。
ー 以前、戦略コンサルファームでもインターンシップをしていたのですね。どんな様子でしたか。
ファイナンスに関する知識・経験はある程度蓄えられている一方で、ビジネスに関連する知識・経験が不足していると考えたので、外資系戦略コンサルティングファームにてインターンを行いました。
私は市場分析などを主に担当しまして、潜在的な市場規模を示すバブルチャートなどをthink-cellを用いて作成しました。社員の方は当然のようにthink-cellを使いこなしていました。think-cellによってスライド作成にかける時間が短くなるので、より本質的なso what?やwhy so?の検証に時間が割けるなと感じました。
また、彼らがプレゼンテーションをする相手は多忙なCxOが多いため、一目で理解できるスライドを作成することの重要性は非常に高く、重要性の高いポイントに絞ってわかりやすいスライド作成ができるthink-cellはプレゼンテーションを受ける側にも欠かせない存在だと思いました。
MBA開始時、クラスメイトの約4割はthink-cellを知っていた
ー MBA開始時点でthink-cellの認知度は結構高いですね。
はい、クラスメイトにアンケートを取った結果、IESEのMBA学生の約40%が入学時、既にthink-cellを知っていました。プログラムの半分が終わった現時点では、プレゼンテーションのあるアサインメントではクラスメイトの半数以上がthink-cellを使用して資料作成を行っていました。
MBA留学中にIESEの日本人学生同士で集まり、インターンに向けた事前勉強会を開催したのですが、その際は外資コンサルファーム出身の方が、think-cellとその使い方を参加者に紹介してくれました。プロフェッショナルファームで働く人には必須な生産性向上ツールですよ、という風に紹介していたと記憶しています。集まった16人中、7名はもともと仕事でthink-cellを使っていて、9名はそこではじめてthink-cellを知った様子でした。
ー IESEでは、どんなふうにthink-cellを使用していますか。
使い方としては2通りで、授業中に実施するプレゼンテーション用の資料作成と課題として提出するレポート作成時にthink-cellを使用しています。私の場合think-cellで作成した最初のプレゼンテーションは、投資意思決定を想定するケーススタディで、理論株価をウォーターフォールチャートの機能を使用して構造化して説明したことを覚えています。
MBAの充実した日々を支える think-cell
ー なぜMBA取得中にthink-cell利用が広がっていくのか、理由を教えてください。
元々think-cellを知っていた学生と、知らなかったけど使用するようになった学生、と大きく二分すると、知っていた学生はコンサルティングファームなどのプロフェッショナルファームでの勤務経験がある人が多く、そこでthink-cellがデータを元に説得力のある資料を作る際の必須ツールであると理解しているため、レポートやプレゼンテーション資料作成に使わない理由がないということだと思います。
知らなかったけど使用するようになった学生は、MBA取得に必要な強い好奇心とチームワーク、そして積極的に新しいものを吸収する力で、周囲のthink-cellを使用している学生と情報交換したり、一緒にケーススタディに取り組んだりする中で、これは使いやすい!と感じることで使用を開始するのだと思います。
IESEはビジネスケースの予習が忙しいことで有名なビジネススクールで、予習として調査やデータ分析を行いつつ、各授業の宿題の多くのプレゼン資料やレポート作成を行っています。1日3つのビジネスケースの準備をし、それらに加えて平均で週に1回のレポート対応が必要になってきます。チームを形成しているといってもこれは想像以上にハードです。したがって、できるだけ効率的に課題対応を行うことで、就活準備やパーティーへ参加といった、将来重要となってくるネットワーキングにも時間を費やすことが可能になります。私もそうですし、他の学生もそのような活動になるべく時間を割きたいという強いニーズが存在するのだと思います。
ー 膨大な量の宿題やケーススタディを効率的にこなし、充実した時間を過ごしているのですね!
少し極端ですが、think-cellがなかったらウォーターフォールチャートの作成に20倍近く時間がかかってしまい、クラスメイトとのコミュニケーションの時間が取れない、就活の準備がしっかりとできないといった可能性は十分にありますね。本当に助かっています。
インターンシップでも経営層へのプレゼンテーションにthink-cellを活用
ー think-cell本社ファイナンス部門のインターンではどのようなことを行っていますか。
現在は中長期の収益予測モデルの作成を担当しています。例えば、ある経済指標と収益の相関関係を分析し、過去データや市場分析データから、今後の収益予測に対して仮説を組み立てます。その予測と詳細説明を、CEOはじめCFOや経営コアメンバーであるマネジメントチームに説明する際の資料をthink-cellで作成しています。下図はあくまでイメージですが、このような資料を作成することで、お互いに母国語ではない英語での意思疎通が必要な際に、自分の考えをいかにわかりやすく可視化できるかという点が非常に重要であると感じています。データをあらゆるグラフに簡単に図表化でき、さらに伝えたいメッセージをカラー強調や注釈の追加で表現できるthink-cellは業務になくてはならない存在です。
言語の壁を乗り越えてファイナンスプロフェッショナルとして示唆のあるメッセージを伝えたい
ー think-cellによる資料作成の総括と、今後の展望をお聞かせください。
私の中でthink-cellを一言で表すなら「通訳」です。 think-cellの素晴らしさは単なる生産性向上ツールということだけではなく、重要な情報を誰でも簡単に可視化することができるため、言語の壁を越えて自分の思考を伝える手段になるということです。私は帰国子女ではないため、MBA留学・海外インターンをしている今でも英語運用能力に苦労することがあります。そんな中、自分の思考を誰にでもわかりやすく伝える手伝いをしてくれるthink-cellは欠かせないコミュニケーションツールだと思います。
残り半分のMBAプログラム、そしてその後のキャリアでも、引き続きthink-cellを活用して業務を取り組んでいく未来が想像できています。今後、日本及び日本企業のグローバリゼーションは更に進んでいく見込みですので、どこの会社で働くにしろ、think-cellの”通訳”としての価値は引き続き高いと信じています。
ー think-cellはどのような人におすすめできるツールですか?
私のようなファイナンス領域で働く人はもちろんのこと、ビジネスにおいて人に何かを説明する・人を説得するようなコミュニケーションが発生するあらゆる人が対象になると思っています。人に何かを説明する・人を説得する際には、それを支える根拠を伝える必要性があるわけですが、根拠を可視化し、スムーズに伝えることをサポートしてくれるのがthink-cellです。したがって、効率的かつ効果的にビジネスコミュニケーションを進めたいすべての方に強くおすすめできます。